不眠症
不眠症とは
不眠症とは、普段より寝付くのに長く時間がかかる、一旦寝付いても途中で何度も目が覚める、朝極端に早く目覚めてしまい再度寝付けないなど睡眠問題があり、そのために日中に意欲低下・集中力低下・疲れ・眠気などの不調が表れる病気です。
20~30歳代に始まり加齢とともに増加し、比較的女性に多くみられます。
不眠症の症状
不眠症にはいくつかの症状があります。
入眠困難
なかなか(30分~1時間以上)眠りにつけない。
中途覚醒
いったん眠りについても、夜中に何度も目が覚める。
早朝覚醒
朝早く目が覚め、そのあと眠れない。
熟眠障害
眠りが浅く、睡眠時間のわりに熟睡した感じが得られない。 なお、これらの症状は同時に複数表れることがあります。
不眠に伴う日中症状
- 朝起きた際の睡眠により休養が取れた感覚(睡眠休養感)が薄い
- 気力の低下
- 仕事の効率の低下・注意力散漫
生活の質の低下など、前述の不眠症状(夜間症状)に、これらの日中症状が加わると、治療が必要な不眠症と判断されます。
不眠症の原因
不眠症にはそれぞれ原因があり、対処法も異なります。
環境要因
生活リズムの乱れ
交替制勤務や時差などの影響によって体内リズムが乱れるためおこります。
暑さや騒音、明るさ
これらが気になって眠れないケースも多いといわれています。
身体要因
そのほかの疾患
- 高血圧や心臓病(胸苦しさ)
- 呼吸器疾患(咳・発作)
- 腎臓病
- 前立腺肥大(頻尿)
- 糖尿病
- 関節リウマチ(痛み)
- アレルギー疾患(かゆみ)
により起こります。これらは不眠そのものではなく病気の治療が優先されます。
精神的要因
ストレス
ストレスと緊張を感じることにより起こります。
こころの疾患
うつ病など多くのこころの疾患は不眠を伴います。
生活習慣要因
薬や刺激物
降圧剤・甲状腺製剤・抗がん剤などは睡眠を妨げるといわれています。また、コーヒー・紅茶などに含まれるカフェイン、たばこに含まれるニコチンなどには覚醒作用があるため寝る前の摂取には注意が必要です。
不眠症の診断基準
不眠症の国際的な診断基準に「睡眠障害国際分類第3版(ICSD-3)」があります。睡眠障害国際分類第3版(ICSD-3)では、不眠症の診断基準として、以下のように定められています。
「1. 夜間の不眠が続き」
「2. 日中に精神や身体の不調を自覚して生活の質が低下する」
この2つが認められたとき不眠症と診断されます。
終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)
脳波・眼球運動・心電図・筋電図・呼吸曲線・いびき・動脈血酸素飽和度などの生体活動を、一晩にわたって測定し、閉塞性睡眠時無呼吸、周期性四肢 (しし) 運動障害、睡眠時随伴 (ずいはん) 症などの睡眠障害の診断をします。
睡眠潜時反復検査(MSLT)
日中の眠気を測定する検査です。日中9時、11時、13時、15時、17時に、約20分程度眠ってもらい、眠るまでの早さからどの程度眠気が強いかを判定します。
不眠症の治療法
薬物療法
脳の抑制系の働きを促すもの、脳内の睡眠ホルモンの作用を助けるもの、脳の覚醒系の働きを抑えるものなどさまざまあります。睡眠薬を使用する際には、主治医の指示に従い、決められた使用法・使用量を守ることが重要です。
対処法・予防
自分流の安眠法を工夫することも効果的です。そのため生活習慣の見直しを行いましょう。
就寝・起床時間を一定にする
睡眠のリズムを整え、起床・就床する習慣を身につけることが大事です。
睡眠時間にこだわらない
睡眠にこだわりすぎると、不安や緊張が増してますます目が冴えてしまいます。
太陽の光を浴びる
太陽光には体内時計を調整する働きがあります。
適度の運動をする
ほどよい肉体的疲労は心地よい眠り・睡眠の質を向上させる助けとなります。
自分流のストレス解消法を見つける
日常的なストレスを軽減することが大切です。
カフェインやアルコールの摂取制限をする
カフェインやアルコールは睡眠を妨げるため寝る前の摂取には注意が必要です。