統合失調症
統合失調症とは
統合失調症は、こころや考えがまとまらなくなる状態が続く精神疾患です。そのため気分や行動、人間関係などに影響が出てきます。
思春期から40歳くらいまでに発病しやすく、約100 人に1 人がかかるといわれており、決して特殊な病気ではありません。
統合失調症の症状
統合失調症の症状はさまざまですがよく知られているのが、「幻覚」と「妄想」です。
前兆期
不眠、不安、神経過敏、身体症状などが表れることがあります。
急性期
陽性症状
妄想
テレビで自分のことが話題になっている、ずっと監視されているなど、実際にはないことを強く確信する。
幻覚
周りに誰もいないのに命令する声や悪口が聞こえたり(幻聴)、ないはずのものが見えたり(幻視)して、それを現実的な感覚として知覚する。
思考障害
思考が混乱し、考え方に一貫性がなくなる。会話に脈絡がなくなり、何を話しているのかわからなくなることもある。
陰性症状
感情鈍麻
喜怒哀楽の表現が乏しくなり、他者の感情表現に共感することも少なくなる。
思考の貧困
会話で比喩などの抽象的な言い回しが使えなかったり、理解できなかったりする。
意欲の欠如
自発的に何かを行おうとする意欲がなくなってしまう。また、いったん始めた行動を続けるのが難しくなる。
自閉
自分の世界に閉じこもり、他者とのコミュニケーションをとらなくなる。
認知機能障害
記憶力の低下
物事を覚えるのに時間がかかるようになる。
注意・集中力の低下
目の前の仕事や勉強に集中したり、考えをまとめたりすることができなくなる。
判断力の低下
物事に優先順位をつけてやるべきことを判断したり、計画を立てたりすることができなくなる。
消耗期(休息期)
幻覚や妄想などの目立った症状は少なくなりますが、元気がなくなったり、やる気が起こらなくなったりします。
回復期
一般的に、幻覚・妄想などの陽性症状が次第に減少し陰性症状が残ります。
安定期・慢性期
治療によって安定した生活を送れるようになる方が多くみられます。
統合失調症の原因
統合失調症の原因はまだ正確にははっきりとわかっていませんが、脳内で情報を伝える神経伝達物質のバランスがくずれること、仕事や人間関係のストレス、就職や結婚など人生の転機で感じる緊張などがきっかけとなり、発症するのではないかと考えられています。
統合失調症の診断基準
問診
症状や経過、ほかの体の病気の症状の有無、服薬状況、生活歴や家族歴などを伺います。
そのほかに血液検査、CTやMRIなどの画像検査を用いることもあります。
統合失調症の治療法
薬物療法や生活訓練のためのリハビリテーション療法、疾病教育を行います。
薬物療法
中心となる症状を抑える抗精神病薬を主に使用します。脳内で過剰に活動しているドーパミン神経の活動を抑えることで症状が改善すると考えられています。
場合によっては抗不安薬、睡眠薬、抗うつ薬、気分安定薬などを併せて使用しますが中心となる症状への効果は期待されていません。 抗精神病薬の副作用を抑える薬として抗パーキンソン病薬、便秘薬を使用します。
リハビリテーション療法
病気の症状で生じる「生活のしづらさ」を改善し、スムーズに安定した生活を送れるようにすることを目的に行います。
作業療法
作業療法士の指導のもと、楽しみや達成感、充実感といった感情の回復を図ります。
SST(社会生活技能訓練)
対人関係を良好に維持する方法や、病気や薬との付き合い方、ストレスへの対処法などのスキルを学びます。
疾患教育
病気に対する理解を深め、病気との付き合い方や前向きに治療に取り組む姿勢を身につけます。
病気に対する理解と本人への接し方やサポート方法などを学ぶ家族教室もあります。