尿漏れ・頻尿
尿漏れ・頻尿とは
【頻尿】
頻尿とは、何らかの原因で排尿回数が多い状態です。夜、寝ている間に、1回以上トイレのために起きたり昼間起きている間に8回以上トイレに行くようになる状態で困っていると感じたら頻尿といえます。個人差もあるため回数が8回以下であっても、ご自身で排尿回数が多いと感じられている場合は、頻尿といえます。
【尿漏れ】
尿失禁とは、自分の意思とは関係なく時や場所を選ばずに尿が漏れてしまう病気です。たまたま、年のせいなどと見過ごしがちですが、尿失禁がひどくなると外出を控えがちになったりトイレをいつも気にしたりと、生活の質が落ちてしまいます。尿漏れ症状は非常に多く、女性高齢者の約30%、男性高齢者の約15%が罹患しているといわれています。
尿漏れ・頻尿の症状
次のような症状があり困っている方は、泌尿器科へご相談ください。
- 朝起きてから就寝までに8回以上おしっこに行く
- 急におしっこに行きたくなり、我慢できない
- おしっこを我慢できず漏らしてしまうことがある
- 残尿感がある ・おしっこを我慢すると下腹部が痛む
- 1回のおしっこの量は少ないが、頻回にトイレに行きたくなる
- くしゃみをしたときに尿が漏れる
- 夜間入眠中に1回以上トイレに起きることがある(夜間頻尿)
- おしっこをする時に、いきまないとおしっこが出ない
尿漏れ・頻尿の原因
頻尿
水分の取りすぎ
排尿量を計った時に、1日2500ccを超える場合は多飲多尿の可能性が高いです。
体の冷え
膀胱は副交感神経によって、膨らんだり、縮んだりしています。体が冷えると、それが刺激となって膀胱は縮み尿意を感じやすくなるためトイレに行く回数が増えます。
頻尿が症状として表れる疾患
過活動膀胱、前立腺肥大症、心因性頻尿、膀胱炎、糖尿病、子宮筋腫、骨盤臓器脱などがあげられます。
尿漏れ
出産や老化による骨盤底の筋肉や靱帯のゆるみ
妊娠・出産、加齢、肥満、閉経による女性ホルモンの低下などが主な原因で骨盤底がゆるんでしまい靱帯を支点に筋肉が協調して動くことができず、尿を止める機能が壊れ、尿が漏れてしまいます。
尿漏れ・頻尿の診断基準
まず問診と診察を行います。排尿日誌を数日間つけてもらうことで排尿状態や尿失禁の程度がわかります。
共通
尿検査
尿の成分を調べ、尿路感染症の有無などを調べます。
直腸診(男性)での診察
肛門から直腸に指を入れ、前立腺に触れることで、前立腺の形や硬さ、痛みの有無を調べます。
内診台(女性)での診察
わざと咳をしたり力んだりしていただき、尿道の動きや尿の漏れ具合のほか、骨盤臓器脱の有無を確認します。
頻尿
尿流測定
トイレ型の検査機器に排尿してもらい自覚的な尿の出が悪いのを実際の数値として客観情報として評価します。
残尿測定
排尿直後に膀胱内にどれくらいの尿が残っているかを超音波で測定します。
超音波検査
膀胱に結石がないか、膀胱内にできもの(腫瘍)がないか、背中からエコーをあてて、腎臓が腫れてないか(水腎症)といった、過活動膀胱と同様の症状を来すほかの疾患がないかを確認します。
尿漏れ
チェーン膀胱造影検査
膀胱にチェーンのついたカテーテルを挿入し、造影剤を注入します。膀胱頚部の開大具合や後部膀胱尿道角を測定します。腹圧性尿失禁の診断に必要です。
padテスト
水分摂取後に、60分間決められた動作や運動を行います。検査前後のパッド重量を計測し、尿失禁の重症度を判定します。腹圧性尿失禁の診断に必要です。
尿流動態検査
膀胱に生理食塩水を注入しながら尿が溜まった状態や、排尿している時の状態を再現して、膀胱の知覚と運動機能を調べる検査です。
膀胱鏡検査
尿道や膀胱の中を内視鏡で観察する検査です。
尿漏れ・頻尿の治療法
薬物療法
尿失禁や頻尿に対して処方されることの多い代表的な薬として抗コリン薬やβ受容体刺激薬があげられます。 前者は膀胱の異常な収縮を抑えることで、後者は尿道を締めつけることで、尿失禁や頻尿の症状を改善します。 ただし、残尿や尿閉の状態を招きやすい前立腺肥大症が原因となって尿失禁や頻尿が発生している場合には、これらの薬を服用することで逆に状態を悪化させてしまう可能性もあるので、服薬にあたってはきちんと泌尿器科医による指導を受けることが大切です。
予防
水分を適切に管理する
水分の摂りすぎや水分を摂取するタイミングを見直します。
骨盤底筋のトレーニング(骨盤底筋体操)
膣や肛門を意識してゆっくり締め、5秒保ってからゆるめる動作を1日に何度も行います。効果が表れるまでに時間はかかりますが、継続することが重要です。
体重のコントロール
肥満は膀胱を押したり、骨盤底筋を締めにくくする原因となります。自分の体重-(身長-100センチ)=余分な体重を目標としましょう。
便秘の改善
便秘は膀胱を圧迫したり骨盤底筋を締めにくくするなどの原因になります。